DIYでできる耐震補強の施工方法
超簡単!施工方法動画
0.はじめに
耐震DIY普及センターは、お客様が DIYで簡単に必要最低限の耐震対策を行っていただくことを目指しています。 1人でも多くの方の命を救うためです。
しかしながら、一般のお客様はプロの施工職人ではありませんので、失敗や不都合が発生する可能性があります。
耐震補強工事をDIYで行っていただくにあたり、下記の注意事項をご確認のうえ、自己責任にて施工していただきますようお願い申し上げます。
- 建物の状態により基礎にひび割れや著しい劣化損傷がある場合に、基礎に穴を開
ける際に基礎の一部が剥がれることがあります。そのような基礎に施工する場合
には、あらかじめ専門業者に依頼するなど基礎の補強・修繕を行ってから耐震補
強工事を行うようにしてください。
(当センターのグループ施工企業で基礎の補強工事を承ることも可能です) - 柱の位置を間違えて柱のない壁にコーチボルトを打ち込んでしまった場合、ボル トが効かず柱と基礎を固定することができません。その場合は、もう一度柱の位 置を確認してから、金具をずらすなどして再度取り付けるようにしてください。 間違えて開けてしまった穴はコーキングなどで必ず密閉してください。
- 柱側に金具を取り付けるときに外壁から柱までコーチボルトを打ち込みますが、 雨風による水分が柱に浸み込んでしまう恐れがあります。日常ではあまり雨が当 たらない場所であっても、必ずコーキングを行うようにしてください。
- 金具取付の邪魔になるため壁の巾木を部分的に切断したり、雨樋の位置を代える など工夫して設置していただくことは可能ですが、そのような作業により建物に 不具合が発生しても当センターは一切責任を負えません。あくまでも自己責任で 施工してください。
- 慣れない工具の使用によりけがをしないよう十分に安全に留意して作業を行って ください。また、夏場の作業時には熱中症にもご注意ください。
1.何ヶ所に金具を設置するかを決めます
建物の間取りは様々ですが木造軸組工法の場合、建築基準法で定められているため建物の出隅は必ず 2階軒下まで 1本の柱(通し柱)が設置されていますので、建物の出隅の通し柱には必ず設置してください。
建物の形状により4本から 6本のパターンがありますが、複雑な形状で何ヶ所設置したらよいかわからない場合は、ホームページのサポートセンターページから図面(手書き可)を送信していただきましたら必要な金具の本数をお知らせいたします。
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4ヶ所のパターン
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5ヶ所のパターン
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6ヶ所のパターン
2.金具と工具を準備します
(1)金具の選び方
以下の手順で耐震補強金具を選び、必要な本数 (キット数 )を準備してください。
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金尺かメジャーを使って、建物の外壁(金具が密着する部分)と基礎の段差を測ります。
段差が 10mm以下
ヘラクレスから選びます段差が 25mm以下
スパルタから選びます段差が 26mm以上
ご相談ください
段差が25mm以下
スパルタシリーズ
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基本的な選定方法はヘラクレスと同様です。
基礎の段差が大きい場合、両ネジシャフトを傾斜して取り付ける必要があるため、ボール状に加工した合わせワッシャーと決してゆるまないことで有名なハードロックナットを使用します。-
ハードロックナットは、2つのナットの隙間に尖ったV型の部材があるため、くさびの原理でナットが決してゆるみません。新幹線の線路をはじめ様々な安全を守るシーンで活用されています。
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受け金具に接する部分と傾斜のある両ネジシャフトの両方に垂直に力がかかるよう合わせワッシャーを使用しています。
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(2)工具について
以下の工具を準備してください。手元に必要な工具がない場合には、ホームセンターやオンラインで申し込めるレンタル業者からレンタルすることもできます。
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インパクトドライバー
18V以上 (推奨 32V)
柱側の下穴を開けるときとボルト・ナットの締め付けに使用します。ハンマードリル
コード式700W以上
基礎側のアンカー用の穴を開けるときに使用します。下穴と本穴の2回開けます。 -
木工用ドリル刃
4~5mm
柱側の下穴を開けるときに使用します。コンクリート用ドリル
刃 4.5mm・ 10.5mm
下穴は4.5mmで本穴は10.5mmで基礎に穴を開けます。 -
インパクト用ソケット
21mm・ 24mm深型
六角コーチボルトとアンカーナットは 21mmで、両ネジシャフトは24mm深型で締めます。ハンマー
ピン付きアンカーを基礎に打ち込むときに使用します。 -
スパナ/モンキーレンチ
両ネジシャフトを締めるときにインパクトの反対側のナットを固定します。コーキング剤
柱側受け金具の下穴および金具周りをコーキングします。変成シリコーンタイプが適しています。
※ 上記の工具が手元にない場合は、下記のホームセンターやレンタル企業でレンタルできます。
【ホームセンター 】
コーナン ・カインズ ・コメリ ・ DCM・島忠・ロイヤルホームセンター・ケイヨーディーツー ・ビバホーム
【レンタル企業 】
ネットレンタル WECURLY・レンタルトライ
※ サイズや料金はそれぞれの店舗にお問い合わせください。
3.穴の位置をマーキングします
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出隅にある通し柱は一般的に4寸 (12cm×12cm)の柱が使われていますので、壁の厚みを差し引いて角から 12cmは壁の奥に柱があることになります。およその柱の位置を把握して印をつけます。
出隅以外の柱は3.5寸 (10.5cm×10.5cm)を使われることもありますので注意して下さい。
※出隅以外では窓枠の両端には必ず柱があります。 -
実際に取り付ける形に上下の受け金具を両ネジシャフトで仮止めした状態で、壁および基礎に金具を置いて取付位置を確認します。
できるだけ柱の左右中央に受け金具が来るように配置して、取付位置を確定します。
※両ネジシャフトのネジ山が出すぎたり、足りなくならないよう上下のバランスも考慮して下さい。 -
確定した位置で、柱側の受け金具の4つの穴をサインペンなどでマーキングします。
※壁の材質によってサインペンでマーキングしにくい場合には、キリなどでマーキングするなどで対応してください。 -
できるだけ基礎の高さの中央に受け金具が配置されるよう、基礎側の金具の取り付け位置を決めます。
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確定した位置で、基礎側の受け金具の4つの穴をサインペンなどでマーキングします。
通常の基礎はコンクリートでできていますので、激しい汚れがなければサインペンでマーキングできます。
4.柱側の下穴をあけます
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モルタルの壁は木工用ドリルで穴をあけられませんので、基礎側下穴用4.5mmのコンクリート用ドリル刃を付けたハンマードリルで壁につけた4つのマーキングに壁の厚み分の穴を開けます。
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モルタル壁にあけた4つの穴に木工用ドリル刃 4または5mmを付けたインパクトレンチで六角コーチボルト用の下穴をあけます。
柱の表面から5cm程度の深さまで下穴をあけて下さい。
※ドリルの抵抗がなく柱以外の部分に穴をあけてしまった場合には、再度柱の位置を調整して穴をあけなおしてください。失敗した穴はコーキングで塞いでください。
5.柱側の受け金具を固定します
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インパクトドライバーにソケット(21mm)を取り付けて六角コーチボルトを 1本ずつ 4本とも仮止めします。
受け金具が垂直になっていることを確認し歪みがあれば調整します。 -
仮止めした4本のコーチボルトをしっかりと固定します。
トルクをかけすぎて壁を破損しないように注意してください。
6.基礎側のアンカー用の穴をあけます
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ハンマードリルで穴をあける前に、コンクリート用ドリル刃とピン付きアンカーを並べて、ネジ山の手前までアンカーが刺さるようにドリルの刃先から約 5cmのところにビニールテープなどを巻いて目印にします。
※下穴用、本穴用ともにテープを巻いておきます。 -
ハンマードリルを使って基礎のマーキングしたところに穴をあけます。
4.5mmの下穴用ドリル刃で下穴をあけてから、 10.5mmの本穴用ドリル刃で目印の深さまで穴をあけます。
7.ピン付きアンカーを打ち込みます
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ハンマードリルであけた穴に溜まっているコンクリートかすを、エアブローやブラシなどできれいにします。
※穴にコンクリートの破片が残るとアンカーの食いつきが悪くなりますので、必ずきれいにしてください。 -
受け金具のない状態でアンカーが止まるまで軽く打ち込んでから、受け金具をすべての穴に通します。
その後アンカーのピンの部分を頭が3mmほど残るまで打ち込み、アンカーを基礎にしっかりと固定します。
8.基礎側の受け金具を固定します
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ピン付きアンカーにワッシャーを通し、アンカー用ボルトで基礎側の受け金具をしっかりと固定します。
9.両ネジシャフトを固定します
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両ネジシャフトをワッシャーとナットで締め付けます。片方をスパナ(24mm)かモンキーレンチで固定してから、ソケットビット (24mm深型 )を付けたインパクトレンチでしっかりと固定します。
※ヘラクレスシリーズではスプリングワッシャーとナットを、スパルタシリーズでは合わせワッシャーとハードロックナットを使用してください。
10.柱側の受け金具をコーキングします
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柱側の受け金具周りろコーチボルトの周囲をシール材でコーキングします。
※シール材は耐候性がある「変成シリコーン」タイプが外壁には適しています。